【音楽の授業】文明が発展すると合唱が斉唱になる?

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※今回も小泉文夫先生の著書と録音から紹介させていただきます。

西洋音楽史を辿ると、音楽は時代とともに変遷し、モノフォニーからポリフォニー、そしてホモフォニーへと発展していきました。同様に、世界の民俗音楽も、地域によって異なる進化を遂げてきました。しかしながら、歴史的に文明が発展すると合唱から斉唱になる傾向があることが分かっています。

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合唱は民主的な環境から自然発生する

前回ご紹介したブヌン族の歴史を振り返ってみましょう。ブヌン族の歌は、最初は一人で歌う独唱から複数で同じ旋律を歌う斉唱に進化し、美しい音程を選び、声を重ねる形で合唱に変化していったと考えられます。

同じ旋律を何度も繰り返していたら、ちょっと変えて歌いたくなるよね

ブルースやジャズも独自に旋律を変化させていきましたよね。

外界との接触がほとんど行われず、独自の音楽を形成し美しいハーモニーを築いたブヌン族でしたが、世界の民俗音楽を見てみると、斉唱が生まれた背景となる録音が残っていました。

※いずれyoutubeなどに投稿します。

ナイジェリアの成年式の録音です。こちらの録音よりも前の話になりますが、ナイジェリアに伝わる成年式の式歌では、王を讃える歌を何日も練習し、歌詞や音程を間違えるとそれこそ命に関わる時代がありました。アフリカ音楽の各々が自由にリズムを刻むことで生まれた複雑で特徴的な民族の独自性から考えると、みんなでリズムと音程を合わせて歌うことがどれだけ苦しいことであったか想像できるでしょう。

残念ながら、民俗音楽の中で、ブヌン族以外の合唱の音源は見つけられませんでした。他民族との関わりがほとんどないまま近代に至った台湾原住民の録音は、音楽の歴史においても貴重なものであることがわかります。

それにしても、みんなつまらなそうに歌ってるね…。

文明が発展し、多種多様な民族や文化が交流した他の地域では、純正律のハーモニーをもつ国は西洋音楽を除いてほとんど見られなかったと言われています。

なぜ現代に合唱が残っているのか

なぜ文明が発展した現代において、合唱が世の中に残っているのでしょうか。その理由は、ゲルマン民族の西ローマ帝国征服にあります。当時のローマ帝国から見て、ゲルマン民族は野蛮な民族であったとされています。しかし、文明的な生活を送るローマ人にとっては、簡素で純粋な生活をするゲルマン民族は、ある程度立場が公平であったため、純正律に近いハーモニーを持っていたと考えられています。そのため、ゲルマン民族がローマ帝国を征服した後、西洋に美しい合唱が残り、音楽が発展するきっかけとなりました。

でも、純正律の元と言われるピタゴラス音律で知られるピタゴラスが紀元前の人だから、それを用いた合唱もあったんじゃないかな。

そうですね。私たち人間は、美しさや心地よさを見極める力を備えています。なので、今回の話は「コミュニティの中で文明が発展して合唱が斉唱に変わったとしても、いずれは斉唱から合唱、モノフォニーからポリフォニーへと変わっていくだろう」というお話でした。

ちなみに、「軍歌に対旋律は少ない」という話もあるね

意志を統一することが目的だからですかね。反対勢力が生まれないために…ということですか?

意図していてもそうでなくても面白いですね!調べてみたいです。

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