最近、学校の教科書に民俗音楽や、伝統音楽の記載が増えてきました。その背景にはどんな意図があるのか私なりの考察をお伝えしたいと思います。ちなみに、これらの内容は民俗音楽の権威、小泉文夫先生のお話を参考にさせていただいています。
ブヌン族が生み出す美しいハーモニー
こんにちは、今日の授業では台湾原住民の音楽について学びます。ブヌン族をはじめとする台湾先住民の音楽は、とても美しいハーモニーを生み出すことで知られています。その秘密は、自然と調和する音律を用いていることにあります。では、みなさんは「自然と調和する音律」とは何を意味するのでしょうか?
わかりません。
「自然と調和する音律」とは、人間が自然に近い音程を使って音楽を演奏することを指します。台湾原住民は自然環境と密接に関わりながら生活していたため、自然に近い音程を用いて演奏することが大切だったのです。台湾原住民の音楽は、そのような自然と調和する音律を用いることで、心地よいハーモニーを生み出すことができるのです。
そういうことなんですね。でも、どうしてその音律を使うと心地よいハーモニーが生まれるのでしょうか?
その理由は、純正律という音律の性質にあります。純正律は、倍音級数に基づいて調律された音律で、和音を奏でるときに調和が生じます。これは、自然界にも存在する法則で、たとえば鳥の鳴き声や虫の鳴き声など、自然界で発生する音も同じ法則に従っています。台湾先住民の音楽でも、自然と調和する音律を用いることで、美しいハーモニーを生み出すことができるのです。
なるほど、自然と調和する音律を用いることで、台湾原住民の音楽が美しいハーモニーを生み出すことができるんですね。
では、ここで台湾原住民のブヌン族の演奏を聴いてみましょう。
とても美しいハーモニーですね!
注目していただきたいことは、このハーモニーは、彼らが他国や他の民族とほとんど交流せずに獲得したものである。ということです。
どういう意味でしょうか??なぜ交流がなかったのですか?
※この内容に関しては、「他民族を受け入れない風習があった」と濁してもいいと思います。
それは・・・。彼らが「首狩り」という風習をもっていたためです。戦争で勝利するために他民族の首を取ることを重要な儀式として捉えられていました。そのために、他民族との交流がなく、独自の音楽を築いていったということです。
おどろきました!
授業もないのに、こんなにきれいな合唱ができるのなら、音楽の授業って必要なんですかね?
・・・。とにかく、「自分たちの文化・芸術を大切にする」ことが必要というわけです。わかりました?
最近の教科書に民俗音楽の内容が追加され、「楽譜」の掲載が少なくなってきた理由は、西洋音楽の学習を第一としたことで、逆に子どもの音楽の能力や愛着が減ってしまったためです。何十年も前に議論されたことがようやく現在に反映された形になります。
二兎を追うものは一兎を得ず。
バイリンガルを目指して語学を学んだのにセミリンガルになっちゃった感じですね。
かといって西洋音楽を学ばせたことが悪いという意味ではありません。日本と世界中の音楽文化を学びながら、共通性や固有性を意識して、音楽のもつよさや美しさを教えていきたいですね。