合唱は、多くの人が一つの声で歌うことで、感動や共感を生み出す素晴らしい芸術です。しかし、合唱をするには、適切な楽曲や歌詞が必要です。そこで、おすすめしたいのが、木を植えるという混声合唱組曲です。この作品は、詩人の谷川俊太郎と作曲家の木下牧子がコラボレーションして作ったもので、環境問題や生命の尊さをテーマにしています。この記事では、木を植えるの楽曲の解説と歌い方のコツを紹介します。あなたもこの美しい合唱曲で、木を植える喜びや想いを表現してみませんか?
曲の概要と歌詞の要点
曲集:混声合唱組曲「いのちの木を植える」より 「木を植える」
合唱曲「木を植える」は、詩人の谷川俊太郎さんと作曲家の木下牧子さんによる混声合唱組曲「いのちの木を植える」の一曲です。この組曲は、環境問題と植樹活動をテーマにした4つの詩に曲をつけたもので、神戸市役所センター合唱団が創立45周年記念委嘱作品として発注しました。2009年11月15日に初演された後、2010年9月28日に楽譜が音楽之友社から出版されました。
この組曲は、「樹下」「梨の木」「木」「木を植える」の4曲からなります。最後の「木を植える」は、斉唱でも歌えるシンプルな歌で、2部合唱版もあります。この曲は、マガジンハウス刊『いのちの木を植える』に収録されている同名の詩に基づいています。
形態:混声四部合唱(同声二部のものもあります)
作詞者:谷川俊太郎 さん
谷川俊太郎さんは、1931年12月15日に東京で生まれた詩人、翻訳家、絵本作家、脚本家です。現在の東京都立豊多摩高等学校を卒業し、1952年に処女詩集『二十億光年の孤独』を刊行しました。以来、8000を超える詩を創作し、海外でも評価が高まっています。多数の詩集、散文、絵本、童話、翻訳があり、脚本、作詞、写真、ビデオも手がけています²。代表作には『六十二のソネット』『旅』『夜中に台所でぼくはきみに話しかけたかった』『はだか』『私』などがあります。
谷川俊太郎さんは、詩人としてだけでなく、翻訳家としても活躍しています。特に有名なのは『ピーナッツ』の翻訳で、1967年から2020年までの長期にわたり全作品の訳を手がけました。また、『あしながおじさん』『スイミー』『マザー・グースのうた』などの絵本や童話も多く翻訳しています。
谷川俊太郎さんは、これまでに多くの賞を受賞しています。その中でも特筆すべきは、2022年に受賞したストルガ詩の夕べ金冠賞です。これは世界最古の国際詩祭で贈られる最高賞であり、日本人では初めての受賞者となりました。
(1) 谷川俊太郎 – Wikipedia. https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B0%B7%E5%B7%9D%E4%BF%8A%E5%A4%AA%E9%83%8E.
(2) 谷川俊太郎 | 著者プロフィール | 新潮社. https://www.shinchosha.co.jp/writer/2063/.
(3) 谷川俊太郎|プロフィール|HMV&BOOKS online. https://www.hmv.co.jp/artist_%E8%B0%B7%E5%B7%9D%E4%BF%8A%E5%A4%AA%E9%83%8E_000000000223774/biography/.
(4) 谷川俊太郎(たにかわしゅんたろう)とは? 意味や使い方 – コト …. https://kotobank.jp/word/%E8%B0%B7%E5%B7%9D%E4%BF%8A%E5%A4%AA%E9%83%8E-93921.
作曲家:木下牧子 さん
木下牧子さんは、日本の作曲家で、管弦楽、吹奏楽、室内楽、声楽など幅広いジャンルにわたって作品を発表し、高い支持を得ています。1956年に東京で生まれ、東京芸術大学で作曲を学びました。2003年にはオペラ「不思議の国のアリス」を作曲し、三菱UFJ信託音楽賞奨励賞を受賞しました。その他にも多くの賞や委嘱作品があります。出版は100冊を超えるほどです。
木下牧子さんの代表曲としては、オペラ「不思議の国のアリス」や、吹奏楽曲「パルセイション」、歌曲集「晩夏」などが挙げられます。これらの曲は、木下牧子さんの作風をよく表しています。木下牧子さんは、「ホールで演奏されたとき最も輝く曲を書き続けたい」という信念を持っています。そのため、彼女の曲は、美しいメロディやハーモニー、豊かな音色や表現力に満ちています。また、彼女は自身を「本質的には器楽の作曲家」と言っていますが、声楽作品では詩や台本に対する深い理解と感性を見せています。
1. ja.wikipedia.org2. kinoshitamakiko.com3. m-kinoshita.com より引用歌詞の要点:
「木を植える」という行為は、過去の過ちを修正し、未来への希望と祈りを込める行為であり、自然との共生と繋がりを表現しています。
主な詩の表現技法:
反復法を用いて、「木を植える」というフレーズを強調しています。また、対句法を使いながら、自然と人間の結びつきを表現しています。
反復法: 「木を植える」というフレーズの反復により、歌詞の中心となるテーマを強調しています。
対句法: 「それはつぐなうこと」や「それは夢見ること」といった対句法を使い、相反する要素を対比させながら歌詞の幅を広げています。メッセージやテーマの意味:
「木を植える」は、人間が自然を大切にし、持続可能な未来を築くことの重要性を訴えています。
込められた感情や思い: 優しさ、希望、悔い、感謝、そして未来への願いが込められていると感じられます。この歌詞は、環境保護や持続可能な社会に対する意識を高めることにつながる重要なメッセージを持っています。
歌詞をより具体的に理解してもらうために、例えば「子どもたちのすこやかな明日を」というフレーズの部分では、子どもたちの未来を思い浮かべてみると良いでしょう。
プロダクションの際には、音楽に自然の音を取り入れたり、アコースティックな演奏を選ぶことで、歌詞の雰囲気を一層引き立たせることができます。
歌い方のコツ
まず、何度も繰り返す「木を植える」はこの曲の重要なテーマです。「い」の口をしてから息を混ぜて発音し、すぐに口のポジションをたてに戻しましょう。「い」の母音を発音した後は、気を抜くとポジションがそのままで、気づかずに喉のしまった聞き苦しいこえになってしまいます。また、ゆるやかなテンポでメッセージ性が強いので、一つ一つの言葉を丁寧に発音し、文章のまとまりを歌で表現できるよう、フレーズについても配慮しなければなりません。
こういった曲が一番難しいと感じます。この曲に込められた思いが軽くとらえられないように、十分に息を吸って、詩をしっかりと頭にイメージをして歌いましょう。
女声が先に出てその後男声が続きますが、先に歌ったパートの雰囲気に合わせて、音色を調整しましょう。「わたし」は「う」の口をしてから「わ」と発音しましょう。テノールの「つぐなう」は喉が狭くなりがちです。フレーズの頭から継続して眉毛をあげ、高くとらえずに歌えるようにしましょう。
口が忙しいです。「が」の鼻濁音を意識した後、「ねこそぎにした」で無声音と鼻濁音が混ざるので、詩の雰囲気に合う歌唱ができるよう、何度も朗読をしたいところ。「し」では息をまぜることで、音色を整えられます。
ブレスの位置に迷います。カンニングブレスをして、「すこやかな」の前後でブレスをし、「きをうえる」の手前ではなるべく避けたいところ。理由はクレシェンドがあるため。伸ばしのタイミングでブレスをとると、クレシェンドの効果が損なわれます。「すこやかな」「うえる」など、二回おなじ言葉を反復しているので、こういった場合は詩の表現具法の反復と同じく、歌い方を変えて強調したいですね。
最後のクレシェンドは、歌い手の力量に合わせて音圧の変化を考えたいですね。苦しい場合はやはりギリギリの三拍目に強くする形でしょうか。
「みみをすますこと」と詩の内容は静かなはずなのに、息が足りていないと喉の閉まった声で、詩とは真逆の声になります。特にテノールは発音がしづらいので気を付けて。余裕をもってブレスをしよう。
この曲では特に感じますが、無声音と鼻濁音が詩の内容を伝えるのにどれだけ大切なのかがわかりますね。
「むすぶ」では、クレシェンドがかかっていますが、「いきとし」の手前に八分休符がありますので、そこまでしっかり保ちましょう。ffですが、気合を入れすぎると喉がしまりますので、手前のブレスがやはり重要ですね。「いきとしいけるものを」までで「い」の母音が多いです。最初に書きましたが、口の形をなるべくたてにしておかないと、最後が台無しになってしまいます。口の形をよく意識してください。「むすぶ」のハーモニーはEの和音になりますので、よく響く(はず)です。この小節だけ取り出した部分練習を繰り返しましょう。最後のフレーズは繰り返し練習することで、この曲に限らず合唱全体の力量の向上につながりそうですね。いろんな要素が詰まっています。