さくらももこさんは、日本を代表する漫画家であり、エッセイストや作詞家としても活躍しました。彼女の作品は、自身の人生観や世界観が反映されたものであり、多くの人々に感動や笑いを与えました。その中でも、彼女の詩による無伴奏混声合唱曲「ぜんぶ ここに」は、特に印象的な作品です。この曲は、作曲家の相澤直人さんが作曲しました。日常生活の中にあるさまざまな感情や感覚を大切にするというメッセージを伝えています。この記事では、この曲の歌詞の内容やメッセージ、表現技法、歌い方や演出のアイデアなどを紹介します。この曲を聴いて、自分自身や人生を肯定的に捉えることの大切さを感じてみましょう。
曲の概要と歌詞の要点
曲集:無伴奏混声合唱曲集「ぜんぶ ここに」より「ぜんぶ」※注意 この記事はキミウタに掲載されている「卒業式バージョン」です
形態・形式:混声三部合唱の三部形式 (同声三部、混声四部などさまざまな形態があります。)
作詞者:さくらももこ さん
さくらももこさんは、日本の漫画家、エッセイスト、作詞家、脚本家です。1965年に静岡県に生まれ、1984年に漫画家デビューしました。代表作は『ちびまる子ちゃん』で、自身の少女時代をモデルとしたコミックです。この作品はアニメ化もされ、さくらももこさんは主題歌の作詞やアニメ脚本も手掛けました。他にも『コジコジ』や『神のちから』などの漫画や、『もものかんづめ』や『ひとりずもう』などのエッセイがあります。さくらももこさんは2018年に亡くなりました
https://sakuramomoko-ten.com/
作曲者:相澤直人(あいざわなおと) さん
相澤直人さんは、日本の作曲家、編曲家、合唱指揮者です。1978年に東京都町田市に生まれ、4歳からピアノを始めました。高校時代に合唱に出会い、音楽家を目指すようになりました。東京芸術大学では作曲科と指揮科の両方を学びましたが、指揮科は病気で中退しました。2007年から独立して活動を始め、さまざまな合唱団の指揮者や作曲家として活躍しています。代表作には、さくらももこさんの詩による無伴奏混声合唱曲集「ぜんぶ ここに」や、NHK全国学校音楽コンクールの課題曲「友 〜旅立ちの時〜」の編曲などがあります。また、合唱エクササイズや合唱教育に関する著作も多数あります。
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大切なことは ぜんぶここにある。
泣くこと 笑うこと 怒ること 喜ぶこと
あたりまえの気持ちは あたりまえのものとして
そのまま 今ここにある。 ぜんぶそのままだ。
歌詞の要点:
この歌は、日常生活の中にあるさまざまな感情や感覚を大切にするというメッセージを伝えています。歌手は、泣いたり笑ったり怒ったり喜んだりすることが、自分の存在や人生を豊かにするものだと認めています。そして、それらの気持ちは当たり前のものではなく、そのままで素直に受け入れるべきだと歌っています。
主な詩の表現技法:
この歌詞には、以下のような表現技法が使われています。
- 反復: 「ぜんぶ」や「そのまま」などの言葉が何度も繰り返されています。これは、歌手が自分の感情や感覚を全て大切にしていることや、それらを変えようとしないことを強調しています。
- 対比: 「泣くこと 笑うこと」や「怒ること 喜ぶこと」などの対照的な言葉が並べられています。これは、歌手が喜怒哀楽を含めた自分の全てを受け入れていることや、人生には様々な感情があることを示しています。
表現技法は、メッセージやテーマを強調したり、聴き手に印象付けたりする役割を果たしています。例えば、反復は、歌手が自分の感情や感覚を全て大切にしていることや、それらを変えようとしないことを繰り返し伝えることで、聴き手にその姿勢を強く印象付けます。また、対比は、歌手が対照的な感情や感覚を並べることで、聴き手に人生の多様性や複雑さを感じさせます。
メッセージやテーマの意味:
この曲のメッセージやテーマは、自分自身や人生を肯定的に捉えることです。この曲は、自分が感じるさまざまな感情や感覚を否定せずに受け止めています。そして、それらが自分の人生を豊かにするものだと認めています。また、歌手は、自分の感情や感覚を当たり前のものではなく、特別なものだと感謝しています。そして、それらを素直に表現することで、自分らしく生きることを楽しんでいます。
歌い方や演出のアイデア:
この曲を歌唱する場合、以下のような歌い方や演出が効果的だと思います。
- 音色や音量: 歌詞の内容に合わせて、音色や音量を変えることが大切です。例えば、「泣くこと 笑うこと」や「怒ること 喜ぶこと」などの対比的な言葉では、それぞれに適した感情を声に込めることで、聴き手に感情の移り変わりを伝えることができます。また、「ぜんぶここにある」や「ぜんぶそのままだ」などの反復的な言葉では、声を強くすることで、聴き手に自信や決意を伝えることができます。
- 動きや表情: 歌詞の内容に合わせて、動きや表情を変えることも大切です。例えば、「泣くこと 笑うこと」や「怒ること 喜ぶこと」などの対比的な言葉では、それぞれに適した動きや表情をすることで、聴き手に感情の豊かさを伝えることができます。
追加のコメントやアドバイス:
この曲は、自分自身や人生を肯定的に捉えることの大切さを教えてくれる素敵な曲だと思います。歌詞はシンプルですが、深い意味が込められています。この曲を歌う時は、自分の感じたことや思ったことを素直に表現することが大切だと思います。そして、この曲を聴く時は、自分の感じていることや思っていることに気づくことが大切だと思います。この曲は、自分自身や人生について考えさせてくれる曲です。
楽曲の解説:
ブレスが浅いと「たいせつなことはー」でブレスをしてしまいます。そうすると、この曲の伸びやかな雰囲気が損なわれるので、十分に息を吸って、余裕をもってフレーズをつくれるようにしましょう。「わらうこと」では、「わ」の音を発音する前に、「う」の口をしておくとはっきりと「わ」と聞こえます。曲自体、それほど長くないので、一つ一つの言葉をより大切に歌えると良いですね。
喜怒哀楽ですね。淡々と歌うのも意図があればいいですが、まずは表情から工夫してみるのも大切です。「よろこぶこと」では、「い」の口をしてから歌うとはっきりと「よ」に聞こえます。ただし、「い」の母音は喉が閉まりやすいので、すぐに口をたてに開ける意識を持ちましょう。男声はここが歌い出しになりますが、緊張していたりするとこの「ド」の音でも発声がくるしくなります。息をしっかりと吐いて、十分にブレスをして歌いましょう。眉毛も最初から上げておくといいですね。
同じ言葉を繰り返しています。一回目のフレーズとは表現を変えていきたいところ。例えば、1回目は相手に。2回目は自身に。というように、伝えたい相手を変えたり、1回目は遠くに向かって。2回目は目の前に向かって。など視点を変えたりして雰囲気を工夫してみましょう。
とても難しいと思います。ゆるやかな動きの旋律のまま、声量を上げ、ffまで上げていかなくてはなりません。加えて、「いまここに」は「い」「に」など「い」の母音でどちらも高音です。相当な練習と技術が必要になると思います。舌先をよくコントロールし、口をなるべく横に開かずに、喉を閉めずに歌いたいところ。「そのまま」の後にブレスをしてしまうとより難易度が上がるので、手前で余裕をもってブレスをしておきましょう。
アルトが詩の表現技法での反復に当たります。1回目と2回目で表現を工夫して変化をつけてください。2回目は自身に確かめるようにして歌うと雰囲気が合うと思います。
合唱曲では、よくラララやルルルなど、同じ言葉が連続する際には、曲の雰囲気を損なうために、あえて歌詞を省略する場合があります。ここでは、実際のさくらももこさんの詩では、
もうどこへも行かなくても
なんにもしなくても
どこへ行っても
何をしても
の詩があるはずですが、作曲にあたって、ここは省略されています。そのまま言葉をあてはめることはできませんが、この言葉をルルルやラララに無理に入れてでも、一度歌ってみることが大切です。そうすることで、このフレーズの伝えたい雰囲気が見えてくると思います。
何も感じずに歌う「ルルル」「ラララ」とでは圧倒的に違います。